バイバイドロシーを通じて、全ての方へ。
芸能活動をやめようと思った。
どうして突然そう思ったかは自分でもわからない。私の夢はドームでライブをすることだったけど、こんな性格だからある程度のところまで行くとすぐに投げ出しちゃうのよね。
熱しやすくて冷めやすい、ゴールの手前で引き返す、周りの流れに身をまかせる。適当に生きる。これが私の本質なんだと思う。
今でもドームでライブをすることに憧れを抱いているけど、それに到達できるような努力を続ける自信はないし、無理だと思う。
好きなことやりたいし、自由に生きたい、我慢したくないし、なんでもやりたい。
だから、1つのことのために、ドームでライブをすることだけのために、有限な時間と無限に増える好きを抑えることは出来ないと思った。
なら、どうして今活動してるか。
それは周りの人のおかげ。
私を見つけてくれたファンと呼べる人たち、
私を指導してくれるボイトレの先生、
ライバルと呼べる人たち。
この人たちが、私に期待して
ちゃんと見えていない夢を応援してくれて
私一人じゃどこに目を向けてもピントが合わないけど、みんながそこに焦点を合わせてくれる。
だから私はそれに流されようと思えた。
みんなが私を運んでくれるから、
波にただ揺られる船のように、
流れに身を任せて進もうと思った。
でも、バイバイドロシーの舞台の稽古が始まって、みんなと毎日配信で会うこともなくなって、ボイトレもお休みをもらって、その気持ちが少しずつ遠くなって行った。
そして、バイバイドロシーの現場で感じた
他の役者さんたちの熱量と、芝居に対する熱い気持ちを感じて、私には無理だと改めて思った。やりたい気持ちは負けない。でも、みんなのお芝居に対する真剣な考え方が本当にすごくて、それをプロと呼ぶなら、私はそこまで深く入り込む力はないと思った。
適当だから、いつも。
台本の読み方も甘くて、芝居をしてるんじゃなくて、芝居をしてるフリをしてるみたいだと思った。自分は役者の偽物みたいだと思った。
正直、わからなくなった。
お芝居って難しい。だからわからなくて、
どうしたらいいか、どこに行けばいいか
本当にわからなくて、やめたいと思った。
バイバイドロシーの稽古中、
私だけがずっとダメ出しを受けて、
何度やり直してもうまくできなくて
脚本演出の安藤亮司さんの求めるものに1パーセントも到達出来てないと思ってる。それも悔しい。
脚本と役者の関係性、考え方は人それぞれで
脚本に負けないお芝居をすると言う人もいれば、脚本に失礼のないようにお芝居をすると言う人もいる。
わたしは、人が生まれてくる理由は
親がその人に会いたいと思ったからだと思う。それと同じで、1つの脚本が生まれる理由は、生みの親である作家さんがその台本と出会いたいと思ったからだと思う。
だから、私の役者としての仕事、考え方は
脚本家さんにちゃんとその物語と出会わせてあげることだと思ってる。
安藤亮司さんが会いたいと思ったバイバイドロシーに会わせてあげたい。それが全てで、その為だけに必死に頑張って来た。
小屋入りする最後の最後まで迷ってた。
私は、ちゃんとドロシーになれていたのか。
千秋楽の公演が始まる前に安藤さんに
「よく頑張ったね」って言ってもらえて
それが本当に嬉しくて、涙が出そうになった。その言葉だけがほしくてずっと頑張ってた気がする。
稽古の中盤で体調を崩して、
ペットの入院もあってずっと不幸だらけだったし、熱を出して1人でソファーの上で汗をかきながら寝た日にまた愛猫が体調を崩して、深夜の病院に駆け込んだり。咳も全然止まらないし、本当に辛いことばかりだった。
苦しかった。
でも、千秋楽を終えて、
安藤さんにちゃんと会いたかったバイバイドロシーに会えたか聞いたら、「ちゃんと会えた」って言ってくれた。それだけで全てが救われた。
何度も舞台に立ってるけど、いつも後悔が残る。もっと出来たことがあったんじゃないか、もっもやればよかった、終わった後はいつもそんなことばかり考えてた。
でも今回は何もない。
後悔も悔いもひとつもない。
寂しい気持ちはあるけど、スッとしてて、不思議な感覚。
ああ、本当にやりきったんだなぁ…って思った。
足りないこともたくさんあったと思う、
思い返せば全ての公演が100%じゃなかったかもしれないけど、その時その時のやれる精一杯を私はやった。だから、もう思い残すことは何もない。
寂しいけど寂しくない。
終わるのは辛いけど、「終わりがなきゃ次が来ないから」って思える。前を向ける。
こんな風にすっきり終われた舞台は初めてだから、自分は本当にやりきったと思う。
長くなっちゃったね。
芸能活動に関してはまだ迷ってる。
やりたいことの1つとして、やり続けるとは思うけど、もしかしたらパタリと辞めちゃうかもしれない。とか言って、ずっと続けるかもしれない。本当にわからない。
でも、わからないながらに進むつもりなので、これからもよろしくお願いします。
千秋楽、ありがとうございました。
来てくれた一人一人に心の底から感謝してます。
お礼のブログは明日改めて。
役とのお別れはいつだって寂しいね。
バイバイ、ドロシー。今日までありがとう。
幸せになってね。